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2026.07.22
税務トピックス

日本の会計基準は「のれん」の償却を維持

日本の会計基準を作る「財務会計基準機構(FASF)」は資産に計上される「のれん」について
「定期的に償却する」現行の基準を維持する方針を固めました。

1.そもそも会計の「のれん」とは?
会計における「のれん」を一言で言うと、「超過収益力」です。
他の企業よりも優れたその企業の目に見えない価値(ブランド力や技術力、顧客基盤など)のことをいいます。
会計ではその「目に見えない価値」を資産に計上するのです。
すると「当社のブランド価値は他の企業にはないものだから『のれん』を10億円資産に計上する」という話に
なってしまいますが、会計上、このような「自己創設のれん」は認められていません。
会計上は合併や企業買収をする際に企業の純資産(資産から負債を引いた額)よりも高い金額で
買収した場合の「差額」が「のれん」として計上されます。
<計算イメージ>
純資産が10億円の企業を15億円で買収した場合
15億円(買収額) − 10億円(純資産) = 5億円(のれん)

2.「のれん」の償却について
現行の日本の会計基準では
「目に見えない価値も経年劣化(あるいは効果が限定的)する」
という考え方に基づき、最長20年以内の合理的な期間で少しずつ費用化していきます。
一方、国際財務報告基準(IFRS)及び米国基準では
「買収で得たブランド価値などは適切に維持されれば減価しない」という考え方に基づき、
償却はせず、毎年価値が落ちていないかチェックして、大きく価値が減少したと
認められる際に「減損損失」として一度に価値の減少を認識します。

3.日本の会計基準では「償却」を維持
日本でも国際会計基準や米国基準により作成された財務諸表と比較ができるように
「のれんは償却しないという処理」に変更べきという議論が長年行われてきました。
結果的に財務会計基準機構(FASF)は「のれん」の償却について、
定期的に実施する現行基準を維持する方針を固めました。

4.なぜ「償却」を維持するのか?
償却することのメリットは次のとおりです。
・「損失の先送り」を防ぐため
非償却の場合、買収が失敗していても「減損」の判断が遅れ、
含み損を抱えたまま放置される懸念(いわゆる「減損の遅れ」)があります。
少しずつ費用化する方が安全性が高いと判断されています。
・会計の健全性を保つため
将来の不確実性に備え、投資額を確実に回収していく(費用化する)方が
保守的かつ健全であるという考え方に基づいています。

「非償却」に基準を変更すれば膨大なコストと時間がかかることが想定される。
財務会計基準機構はコストをかけて基準を変更する利点が十分に見いだせないとも判断したようです。

5.私見
「目に見えない価値」を資産に計上することについては
その財務諸表の客観性に問題が生じる可能性があります。
ブランド力や技術力、顧客基盤などの価値は、
経年劣化するのは当然であり「のれんの償却はすべき」であると考えます。
逆に私は、償却されていない「のれん」が資産に計上されていると
「本当にこれだけの価値があるものなのか」と疑ってみてしまいます。
確かに、欧米企業と異なる基準では、財務諸表の比較ができず
「日本の企業に対する投資家離れ」という懸念もありますが、
これについては
財務会計基準機構は決算書類に「のれん償却前利益」の開示について
検討するように傘下の企業会計基準委員会(ASBJ)に提言するそうです。
このように、欧米企業との比較可能性も保ちつつ、
財務諸表は「企業本来の姿を適切に表現するもの」という考えを軸に
会計基準を考えていかなければならないと思います。
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